いつも中心には“音楽”がある。 <br> モデル・ビートメイカーKeigo Okazakiの生き方と日常着。
いつも中心には“音楽”がある。 <br> モデル・ビートメイカーKeigo Okazakiの生き方と日常着。
OUTFIT OF THE DAY

いつも中心には“音楽”がある。
モデル・ビートメイカーKeigo Okazakiの生き方と日常着。

何気なく身に纏う日常着。そこにはその人のライフスタイルやカルチャー、信念など様々なバックグラウンドが映し出されています。国内外で活躍するモデルでありながら、ビートメイカーとしても活躍するKeigo Okazakiさん。“音楽”を中心に生きる彼のリアルな日常着や普段の生活、日々の服選びについて話を聞きました。
  • 岡崎圭吾 
    Model・Beat Maker岡崎圭吾  Keigo Okazaki

    1998年生まれ。小中高とバスケットボールに明け暮れ、高校卒業後に上京。
    ファッションブランド「Vetements」からSNSを通じてオファーを受け、パリで行われた2018-19AWコレクションのランウェイを歩く。それを機にモデルの道へ、現在は雑誌、広告、CMなどで幅広く活躍中。ビートメイカーとしても活動している。

    Instagram(@keigo__okazaki

 

印刷所から一転、海外のランウェイへ。
どこにいたって中心には“音楽”がある。ブレない彼のライフスタイル。

高校卒業後、印刷所で働いていたところを世界的有名ブランドから見初められ、晴れてパリのランウェイでモデルデビュー、という経歴を持つモデル・Keigo Okazakiさん。絵に描いたようなシンデレラストーリーとは裏腹に、ライフワークである“音楽”にひたむきに向き合う彼の日常を、日々音楽づくりに勤しんでいる彼の部屋で垣間見た。

「もともと音楽がやりたくて上京したんです。印刷所で働いているときに、フランスのブランド「Vetements」がインスタで僕を見つけてDMをくれて。当時はファッションにも疎くてよくわかっていなかったんですけど、友達に話してみたら、これすごいんじゃね?って。計画性とかはなかったんですけど、やるからには全力で楽しんでみようって、そんな感じでスタートしました」。

印刷所からモデルというと、異色の経歴に思われがちだが、彼の捉え方は少し違った。「異色ってよく言われるんですけど、僕の中でそういう感覚はあんまりなくて。印刷所の仕事は、業務的にしんどいことも多いけど、すごく楽しかったし、モデルの仕事にもまた別の楽しさがあって。生活の中心に必ず“音楽”があるから、何の仕事をしていようと真ん中は変わらない。せっかくやるならその場所で楽しさを見いだしながら働こうっていう。そういうスタンスなので、どんな仕事をしても僕の基本のスタイルは同じです」。

 

DAWを映し出す大きなモニターにコントローラーにエフェクター。彼の楽曲制作部屋には曲作りのための機械たちが所狭しに並ぶ。「今の僕の日常は、モデルの仕事から帰ったらすぐに曲作り。休みの日なんかは、起きて曲作って、お腹が減ったらウーバーイーツして、曲作って、またウーバーイーツして、曲作って、疲れたら寝て……みたいな(笑)。本当に音楽を中心に生活が回っている感じです」。作った曲を友達に聴かせて、そのときの表情や空気感をフィードバックとして捉えているという彼だが、最近ではネット配信番組の楽曲制作を手掛けるなど、徐々にビートメイカーとしての仕事も広がりを見せている。

 

その場の空気感を解釈してアウトプット。
“グルーヴ”を大事にする彼のモデル・ビートメーカーとしての表現。

「モデルの仕事のときに、現場で必ず音楽をかけるんですけど、そのときに大事にしているのが音楽用語でいうところの“グルーヴ”。説明が難しいんですけど、その場の空気感を大事にするというか。その瞬間の空気感にフィットさせていく感じですかね。これは僕の中で一番大事にしている価値観かもしれないです」。その場の空気感を自分なりに解釈し、アウトプットする。その表現の手法として音楽やモデルといった存在がある。

「現場で音楽をかけるときは、共演する方が女優さんだったら昔の歌謡曲にしてみたり、クラブが好きそうなスタッフさんがいたら、テクノとかハウス系の曲をかけたり。モデルとしては、その場で求められる空気感を汲み取ってポージングとか表情で表現するので、その場に合わせて柔軟に表現するところは、音楽もモデルも共通ですね」。

モデルの仕事と“音楽”が相互にいい作用をもたらすこともある。「モデルの仕事が音楽に活きていると思うところは、カッコイイ大人に出会えるところ。年上の人たちは“俺がお前くらいの歳のときは何も考えず遊んでばっかりだったよ”とか言うけれど、その人たちの “遊び”の中で今のカルチャーが作られていったんだろうなって思うと、いい意味で越えられないなぁって思ったりもします」。

自分自身が“今”の音楽カルチャーに携わりながらも、上の世代に対するリスペクトを忘れないところが彼の柔軟な在り方の所以と言えそうだ。「カッコイイ大人って大抵、いい音楽を聴いていて。こういう音楽もあったんだ、かっけえな、って。それまで知らなかった世界が広がっていくのが純粋にすごく楽しいです。音楽しかやっていなかったら“俺が思うカッコイイ音楽はこれだ!”って視野がすごく狭かったと思う。広い世界を教えてくれる出会いが今はすごくありがたいし、自分もモデルとして注目してもらうことで、誰かのそういう存在であれたらいいなと思います」。

 

自然はインスピレーションの源。
一見不釣り合いなもの同士の不思議な調和に惹かれる。

自分自身が作る曲は“自然”からインスパイアされることが多いという。「ふらっと山とか自然の中にドライブにいくのが好きで。行き当たった場所の風景を見て、目の前に広がる景色に合わせて曲をかけます。そこでぼーっとする時間が創作意欲を掻き立てて、そういう場所でインスパイアされるんです」。自然の中では、アンビエントやテクノといった電子音がベースの音楽を聴くことが多いという。「自然と電子音って一見するとミスマッチに思われがちなんだけれど、アナログとデジタルの融合というか、不思議と違和感なく調和する感じがすごい心地良くて。自分もそういう曲が作りたいなと思います」。

 

 

母にもらった音楽プレイヤーと富山の景色。
子供の頃に培った感性が彼の“今”を形作る。

子供時代を富山で過ごしたというKeigoさん。バスケに明け暮れていた高校時代、歩いて1時間かかる隣町の学校への通学のお供に母がプレゼントしてくれたのが音楽プレイヤーだったそう。「通学が大変だからって買ってくれたんですけど、田舎道を歩きながら音楽を聴いていると、この風景に合う曲をかけたいって思うようになって。TSUTAYAに通って曲を掘り始めたのが音楽を好きになったきっかけです」。ただ流行っている曲を聴くのでなく、その風景に合わせた曲を探し始めたところから、相手の空気感で音楽を選んでいるという、今の彼の片鱗が垣間見られる。その後は小中高と学生時代を捧げたバスケ部を引退。その熱量を次に注いだ先が音楽だったという。

「実は同じ頃、通学路にあった車屋の大きなショーウィンドウに映る自分の姿を見て、なんかこの感じいいなーって、ぼーっと眺めたりしていて、今思えば自分の姿を映して写真に撮ってもらったり、人に見てもらったりするモデルの仕事にも、その頃の自分のフィーリングが繋がっているんですよね」。子供時代からブレない感性が、今の彼を形作っているのだろう。

 

 

日常着にルールはないけれど、自然の色が好き。
その日の気分や相手の雰囲気に合わせて柔軟に選ぶ。

モデルの仕事を始めてからは服への興味も広がったといい、部屋に2つ並ぶ大きなクローゼットには、いっぱいに彼のお気に入りの服が並ぶ。その日の気分や会う相手によってその日の服を選ぶのだそう。「僕の日常着は、特別なルールとか、これといった拘りはないんですけど、一つ言えるのはどの服も“自然”の中にある色。今日のスタイリングも、トップスが岩みたいなグレーで、ボトムは森の中にありそうなオリーブ。他にも鮮やかなグリーンのトップスも気に入っています。音楽もファッションもやっぱり影響を受けるのは自然なんですよね。それ以外は、新作も古着も関係なく、自分の感性でいいと思ったものを直感で選びます」。色味としては、モノトーンから少し鮮やかな色まで幅広く着るそうで、バッグはどの服にもハマるブラックやベージュなどベーシックなものを選ぶことが多いそう。

今でも趣味でバスケを続けているというKeigoさん。「よく友達と集まって公園でバスケをするんですけど、バッシュとかボールとかを何も考えずにガサッと入れて持っていきたいので、容量を気にせず入れられる、ちょっと大きめなボストンバッグが理想です。アウトドアプロダクツのバッグだと、232は大きすぎず、でも必要なものは全部入るのでちょうど良さそうです」。実は旅行のときもキャリーケースは使わないというポリシーがあるのだそう。「旅行のとき、キャリーバッグってガラガラ引っ張るのが大変だし、なんかちょっとあの旅行っぽい雰囲気がいやで。だから旅行のときもボストンバッグ派です」。

この日の私服は、お気に入りで普段からよく着ているという古着のTシャツにオーバーサイズのワークパンツというラフなスタイル。「いつも大体こういうラフな感じです。今日はアウトドアプロダクツってことで、自然の中にそのまま行けそう、みたいなイメージで選んでみました。グレーとオリーブのちょっと淡いカラーを組み合わせて、バッグでブラックを入れるとちょっと締まってかっこいいですよね」。お気に入りのブランドのアイテムを買うときも、新作よりも昔のカルチャーを感じるアーカイブを好むというKeigoさん。アメリカで発売された当時のデザインがそのまま残っているところも、アウトドアプロダクツの胸熱なポイントだそう。

 

 

自分自身の目標よりも、伝えたいこと。
見てくれる人にはかっこいい遊びと音楽を知ってほしい。

ブランドの広告塔や、コレクションのランウェイなど決まった目標は持たないというKeigoさん。「僕自身がモデルとしてこのブランドと仕事したい、みたいなゴール設定はなくて。ただ、モデルとしての僕を好きでいてくれる人とか、見てくれている人たちにはかっこいい遊び方をしてほしいし、こんないけてる音楽があるんだぜ、っていうのを知ってもらいたい。僕を見て、いいなと思ってくれた人は、きっと僕が好きな音楽にも興味を持ってくれるんじゃないかと思っているので」。

音楽の仕事についても同様だ。「アルバムを出すとかランキングに入るとか、そういう目標はなくて、ただ僕の作った音楽を聴いて“食らう”っていう体験をしてもらえたら嬉しいです。そういう誰かの心のドアを叩けるような音楽を作っていきたいです」。

周りの人やもの、風景……。様々なものから柔軟に吸収し、進化し続けるKeigoさん。モデルとして、ビートメイカーとして、第一線で活躍する彼だからこそ“今届けたい想い”。見る人たちに向けて様々な手法で表現し続ける彼の今後から目が離せない。

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    <アウトドアプロダクツ>の定番ロールボストン。通常のナイロンよりもはるかに強靭な米国インビスタ社の素材「コーデュラ®ナイロン」を使用。シンプルな作りながらも、軽量かつ耐摩耗性、耐久性、耐水性に優れています。ジッパーにはYKKを採用。
Photo:Takaki Iwata
Edit:RIDE MEDIA&DESIGN.inc

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